求人票
現場手当・資格手当は残業代に入る? 固定残業代の求人を時給換算で確かめる
※この記事にはアフィリエイト広告(成果報酬型広告)を含む場合があります。確認日:2026年10月27日
結論
- 残業代(割増賃金)の計算から外してよい手当は、法律で決まっています。家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時の賃金・1か月を超える期間ごとの賃金だけです。現場手当・資格手当・役職手当は、この一覧にありません。
- 「月給◯円(固定残業◯時間分・◯円を含む)」の求人は、固定残業代を除いた月給を月の所定労働時間で割ると、1時間あたりの単価(基礎時給)が出ます。基礎時給×1.25×固定残業時間が、固定残業代の金額を上回っていないかを確かめます。
- 同じ基礎時給で、最低賃金(2026年度の全国加重平均は1,177円)を下回っていないかも見ます。月60時間を超える残業は、中小企業も2023年4月から割増率50%です。
残業代の計算から外してよい手当は7つだけ
残業代は「1時間あたりの賃金×1.25(以上)×残業時間」で計算します。この「1時間あたりの賃金」に何を入れるかは、労働基準法37条5項と労働基準法施行規則21条で決まっています。外してよいのは次の賃金です。
| 残業代の計算から外してよい賃金 | 根拠 |
|---|---|
| 家族手当 | 労働基準法37条5項 |
| 通勤手当 | 労働基準法37条5項 |
| 別居手当 | 施行規則21条1号 |
| 子女教育手当 | 施行規則21条2号 |
| 住宅手当 | 施行規則21条3号 |
| 臨時に支払われた賃金 | 施行規則21条4号 |
| 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など) | 施行規則21条5号 |
施工管理の求人によくある現場手当・資格手当・役職手当・職務手当は、この表に入っていません。毎月決まって払われるなら、残業代の計算の土台(基礎)に入れて計算する必要がある、と読むのが条文どおりです。
求人票に「◯◯手当」とあれば、まず上の7つに当たるかどうかを見ます。当たらない手当が毎月の固定給に入っている場合、その分だけ基礎時給は高くなります。
求人票から基礎時給を逆算する手順
月給の人の1時間あたりの賃金は、月給を「月の所定労働時間」で割って出します。月によって所定労働時間が違う会社は、1年間の平均を使います(労働基準法施行規則19条1項4号)。
- 月の所定労働時間を出す:(365日-年間休日)×1日の所定労働時間÷12。年間休日105日・1日8時間なら、260日×8時間÷12=約173.3時間。年間休日120日なら約163.3時間です。
- 基礎になる月給を出す:基本給+現場手当+資格手当+役職手当など。固定残業代と、上の7つの賃金は除きます。
- 基礎時給=②÷①
- 固定残業代の検算:基礎時給×1.25×固定残業時間 が、求人票の固定残業代以下なら足りています。
- 最低賃金の検算:月給(通勤手当・時間外手当などを除く)÷1か月平均所定労働時間 が、働く都道府県の最低賃金以上か。
計算例:手当を入れると固定残業代が足りなくなる求人
次の求人票を例にします(年間休日105日・1日8時間)。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 基本給 | 250,000円 |
| 現場手当 | 20,000円 |
| 資格手当(1級) | 10,000円 |
| 固定残業代(45時間分) | 82,000円 |
| 月給の合計 | 362,000円 |
| 計算のしかた | 基礎時給 | 45時間分の残業代 | 固定残業代との差 |
|---|---|---|---|
| 基本給だけで計算(誤り) | 約1,442円 | 約81,130円 | 足りている |
| 手当も入れて計算(条文どおり) | 約1,615円 | 約90,865円 | 月 約8,865円 不足 |
手当を基礎に入れると、82,000円で払える残業は約40.6時間分です。45時間まで残業すると、差額を別に払う必要があります。求人票の数字だけで判断せず、面接や内定時に「固定残業代の計算に現場手当・資格手当を入れていますか」と確かめると安心です。
このような求人を2つ並べて、年収と拘束時間から時給を比べるには、トップの条件比較ツールが使えます。
内訳が書いていない求人は要注意
「月給25万円(固定残業45時間分を含む)」とだけ書かれ、内訳がない場合を考えます。年間休日105日なら、25万円のうち固定残業代を除いた部分は約188,700円、基礎時給は約1,089円になります。東京都の最低賃金(2026年度の答申額1,280円)を下回り、最も低い県の答申額1,085円とほぼ同じ水準です。
厚生労働省の若者雇用促進法の指針では、固定残業代を含める場合、①固定残業代を除いた基本給の額、②固定残業代の時間数と金額などの計算方法、③固定残業時間を超えた残業などには割増賃金を追加で払うこと、の3点を明示するよう求めています。内訳がない求人は、応募前に聞いて確かめましょう。
割増率と最低賃金の数字(2026年10月時点)
| 項目 | 数字 | メモ |
|---|---|---|
| 時間外労働(月60時間まで) | 25%以上 | ×1.25で計算 |
| 時間外労働(月60時間を超えた部分) | 50%以上 | 中小企業も2023年4月1日から |
| 地域別最低賃金 全国加重平均(2026年度答申) | 1,177円 | 2025年度は1,121円 |
| 同 最も高い額/最も低い額 | 1,280円/1,085円 | 発効日は都道府県ごとに2026年10月1日〜12月2日 |
建設業にも2024年4月から残業の上限(原則 月45時間・年360時間)が適用されています。固定残業45時間の求人は、原則の上限いっぱいまで残業する前提になっていないか、実際の平均残業時間もあわせて聞くとよいでしょう。上限の詳しい中身は「建設業の残業上限」、求人票の他の項目は「求人票の確認ポイント」にまとめています。
よくある質問
Q. 資格手当は残業代の計算に入らない、と会社に言われました。
A. 労働基準法施行規則21条で外せる賃金に、資格手当は入っていません。ただし、個別の扱いは労働条件や支払い方で変わる場合があります。判断に迷うときは、勤務地を受け持つ労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談できます。
Q. 固定残業時間より残業が少ない月は、固定残業代が減りますか。
A. 求人票の「固定残業代」は毎月決まった額として書かれます。残業が少ない月に減るかどうかは、就業規則や労働条件通知書で確かめてください。
Q. 現場手当が「日額」の場合も基礎に入りますか。
A. 7つの除外賃金に当たらなければ、基礎に入れて計算する対象になります。日額の手当は月ごとの額が変わるため、計算のしかたは会社に確認しましょう。
参考にした情報(確認日:2026年10月27日)
- 労働基準法施行規則(e-Gov法令検索)第19条・第21条
- 労働基準法(e-Gov法令検索)第37条
- 厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関する指針(抜粋)」固定残業代の明示
- 新潟労働局・労働基準監督署 建設業向け資料(時間外労働の上限・割増率)
- 厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました」(2026年9月3日)
- 厚生労働省 令和8年度 地域別最低賃金 答申状況(別紙)
- 厚生労働省 最低賃金制度「あなたの賃金を比較チェック」
- CIW Construction 公式サイト(運営会社・許可番号の表示)
- ヨロズワークス 運営会社(株式会社AMGキャリアサービス)
- 厚生労働省「人材サービス総合サイト」(許可番号の照合)