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年収

標準労務費で職人の賃金は上がる? 建設業の「労務費の基準」と転職前に確認する5項目

公開・内容確認:2026年10月31日 / 運営:AI Mediaz

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この記事の結論

  • 標準労務費(正式には「労務費に関する基準」)は、2025年12月2日に中央建設業審議会が勧告し、改正建設業法は同年12月12日に全面施行されています。職人の賃金の「原資」になる労務費を、見積り・契約の段階で削りすぎないようにするルールです。
  • 計算の考え方は「公共工事設計労務単価 × 歩掛 × 数量」。著しく低い労務費での見積りや見積り依頼は法律で禁止され、原価割れの契約の禁止も受注者側に広がりました。ただし、賃金そのものの最低額を法律で決めたものではありません。
  • 転職先を選ぶときは、CCUSレベル別年収(全国レベル1で395万〜535万円以上、レベル4で572万〜754万円以上)と比べて提示額がどの位置か、見積りに労務費を分けて書いているか、を確認しましょう。
労務費は「単価×歩掛」で決める時代へ
労務費は「単価×歩掛」で決める時代へ。図を選ぶと拡大できます。

標準労務費とは? 建設業の職人の賃金とどう関係する?

「標準労務費」は、第三次・担い手3法(品確法と建設業法・入契法の一体改正)で導入された「労務費に関する基準」の通称です。建設工事の請負契約で、技能者に払う賃金の元になるお金(労務費)を、適正な水準で確保することを目的にしています。

ポイントは、公共工事だけでなく民間工事も含め、発注者から技能者を雇う会社まで、すべての取引段階の契約が対象だという点です。元請から一次、二次と下がるたびに労務費が削られる、という構造に歯止めをかけるねらいがあります。

なお、ここでいう労務費は「賃金に当たる分(法定福利費の本人負担分を含む)」だけを指します。法定福利費の会社負担分や安全衛生経費、建退共の掛金などは、労務費とは別に内訳として示すよう求められています。

標準労務費はいつから? 施行日と経緯を整理

国土交通省の公表資料で確認できた流れは次のとおりです。

時期 できごと
2024年6月14日 改正建設業法・入契法が公布(令和6年法律第49号)
2024年9月1日 中央建設業審議会が「労務費の基準」を勧告できる権限、処遇確保の取組の調査・公表権限が施行
2024年12月13日 資材高騰による労務費へのしわ寄せ防止策、現場技術者配置の合理化などが施行
2025年12月2日 中央建設業審議会が「労務費に関する基準」を作成し、実施を勧告
2025年12月12日 改正建設業法等が全面施行
2026年3月・10月 労務費の基準に関するワーキンググループ(第12回・第13回)で、継続審議事項や実効性確保策の状況などを引き続き議論

「決まったこと」と「議論中のこと」を分けると、基準の勧告と法律の全面施行は決定・施行済み、対象職種の追加や実効性の確保策の詳細は検討が続いている、という段階です。

標準労務費の仕組みは? 「著しく低い労務費」の禁止とは

計算は「単価×歩掛」

基準値は、単位施工量あたりの労務費として示されます。

  • 労務単価(円/人日)= その職種の公共工事設計労務単価
  • 歩掛(人日/単位施工量)= 標準的な作業でかかる手間
  • 適正な労務費 = 労務単価 × 歩掛 × 数量

基準値は標準的な作業内容・施工条件を前提にした値なので、実際の現場では条件に合わせた補正が必要とされています。また、高い技能が求められる場合は、受注者が単価を上乗せして見積もることも想定されています。

何が禁止される?

改正建設業法では、通常必要と認められる労務費と比べて著しく低い労務費による見積りと見積りの依頼が禁止されます。国土交通省の整理では、違反した発注者には国土交通大臣等が勧告・公表を行い、建設業者には指導・監督を行うとされています。あわせて、原価割れの契約の禁止が受注者側にも広がったほか、著しく短い工期での契約も受注者側に禁止されました。

「著しく低い」かどうかを機械的に判定する数値の線は、確認できた資料では示されていません。基準値は、見積りや価格交渉の際に「通常必要と認められる労務費」の目安として参照するものとされ、国土交通省は著しく下回るおそれのある取引事例集の周知なども進めています。

公表された標準労務費の例は? 対象の職種分野

国土交通省の審議会資料(2025年10月のワーキンググループ資料)では、基準値の例として次の値が示されています(東京都の例)。

職種分野・工種 基準値(東京都の例) 主な作業
鉄筋工事(建築) 71,472円/t 鉄筋の工場加工・現場組立など
型枠工事(建築) 5,291円/㎡ 合板型枠の加工・組立など

その後も、計装、塗装、内装、とび・土工(地下水位低下工事)、板金・屋根ふき、解体、防水、さく岩、タイル・サッシ・ガラス、エクステリア、上下水道の11職種分野35工種について基準値の「案」が審議資料に示されています(2026年3月適用の設計労務単価(東京)で試算)。このほか、住宅分野・電気設備・とび・土工(足場)などの基準値案も別の審議資料に示されています。これらは案の段階なので、最終的な金額は国土交通省の公表で確認してください。自分の職種の値は、地域によっても変わります。

公共工事設計労務単価との関係は?

標準労務費は、公共工事設計労務単価を計算の土台にしています。基準では、設計労務単価を下回る水準は設定しないとされ、技能者の賃金をまずは設計労務単価並みにすることを目指すとされています。

その設計労務単価は、2026年3月から適用の改定で全国全職種の単純平均で前年度比4.5%引き上げ、加重平均は25,834円となり、2013年度の改定から14年連続の上昇です。ただし、設計労務単価には会社が負担する必要経費分は含まれていません。日当で比べるときは、「設計労務単価=手取りの日当」ではない点に注意しましょう。

職人・施工管理の賃金はどう変わる?(予測を含む)

ここからは筆者の予測です。決定事項ではありません。

  • 技能者(職人):見積り段階で労務費を分けて書く流れが進めば、賃金の原資は削られにくくなると考えられます。ただし、基準は「原資の確保」で、会社が実際に払う賃金を直接決めるものではありません。会社ごとの差は残るでしょう。
  • 施工管理:元請・専門工事会社の施工管理は、見積りの内訳確認、下請との契約、労務費の説明といった業務が増える可能性があります。こうした実務ができる人は評価されやすくなるかもしれません。
  • 会社選び:国の資料では、技能者を大切にする企業を見える化する仕組み(「建設技能者を大切にする企業の自主宣言」制度。宣言企業は国交省HPで公開)や、契約当事者が契約の中で適正な労務費の確保などを約束する仕組み(コミットメント制度)が実効性確保策として挙がっています。こうした取組に参加している会社かどうかは、判断材料の一つになります。

施工管理の年収の目安は「施工管理の年収は? 賃金構造基本統計調査で見る年齢別・企業規模別の目安」、交渉の材料は「施工管理の年収交渉|資格・経審の点数・地域の賃金を根拠にする」で整理しています。

CCUSのレベル別年収はいくら? 転職先と比べる目安

国土交通省は、CCUS(建設キャリアアップシステム)の能力評価レベルごとの年収の目安「CCUSレベル別年収」を公表しています(2026年4月改定、2026年3月の設計労務単価を反映)。

レベル 目安(全国・全分野) レベル相当の目安
レベル1 395万〜535万円以上 経験5年未満
レベル2 444万〜599万円以上 経験5年以上10年未満
レベル3 472万〜664万円以上 経験10年以上または一級技能士
レベル4 572万〜754万円以上 登録基幹技能者

左の数字が「標準値」(下位15%程度)、右が「目標値」(平均以上)です。法的な拘束力はなく、支払いを義務づけるものではありません。ただし、標準値を下回る支払いの事業者は、労務費ダンピングのおそれがないか重点的に確認されるとされています。地域ブロック・分野別の値も同じ資料に載っているので、自分の地域と職種で見てください。

転職先を選ぶ前に確認するチェックリスト

チェック項目 確かめること
CCUSに登録しているか 会社・現場でCCUSを使っているか、レベル判定の申請を支援してくれるか
提示年収はレベル別年収のどこか 自分のレベル・地域・分野の「標準値」を下回っていないか
日給・月給の内訳 基本給、手当、残業代の内訳。日給月給か月給か
見積りの内訳明示 自社の見積書で労務費・法定福利費を分けて書いているか(施工管理なら面接で聞ける)
処遇改善の取組 自主宣言制度などへの参加、昇給の基準がレベルと連動しているか
社会保険・建退共 加入状況と、会社負担分を賃金から引いていないか

求人票全体の見方は「施工管理の求人票チェックリスト」、会社の立ち位置による違いは「ゼネコン・サブコン・ハウスメーカー・発注者側の施工管理の違い」も参考にしてください。

処遇の良い会社を相談先と一緒に探すには?

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自分のレベルや資格に合う求人を比べたいときは、建設・施工管理に特化した転職相談を使う方法もあります。面談では「CCUSのレベルを賃金にどう反映しているか」「労務費の内訳を見積りで示しているか」を求人先に確認してもらうとよいでしょう。

CIW Construction

運営:株式会社アイ・クラッチ(有料職業紹介 13-ユ-320005)。施工管理などの業界経験と1級・2級の対象資格がある人向けです(対象資格・経験年数は申込先で確認)。完全未経験の人は対象外です。 CIW Constructionの相談内容を確認する

コンストワーク

運営:株式会社foredge(13-ユ-309125)。未経験を含め、施工管理の仕事や働く条件を相談したい人向けです。 コンストワークの相談内容を確認する

ヨロズワークス

運営:株式会社AMGキャリアサービス(13-ユ-318333)。経験のある施工管理者が、次の職場の条件を相談したいとき向けです。 ヨロズワークスの相談内容を確認する

※求人の有無や条件は時期によって変わります。年収アップや採用を保証するものではありません。

よくある質問

Q. 標準労務費は職人の最低賃金のようなものですか? A. いいえ。請負契約で確保すべき労務費(賃金の原資)の目安で、会社が払う賃金額を直接決めるものではありません。

Q. 標準労務費は民間工事にも関係しますか? A. はい。公共・民間を問わず、発注者から技能者を雇う会社までのすべての請負契約が対象とされています。

Q. 自分の職種の基準値はどこで分かりますか? A. 国土交通省・中央建設業審議会の公表資料で職種分野ごとに示されています。審議中の「案」もあるため、最新の公表版で確認してください。

Q. CCUSレベル別年収を下回る会社は違法ですか? A. 金額に法的拘束力はなく、下回ることがただちに違法になるわけではありません。ただし、標準値を下回る事業者は重点的に確認されるとされています。

Q. 施工管理(技術者)の給料も上がりますか? A. 標準労務費は主に技能者の労務費が対象です。施工管理の給料に直接の基準はなく、影響は会社の方針によります(上の予測の項を参照)。

個別の契約や賃金の判断は、国土交通省の窓口や社会保険労務士・弁護士などの専門家に確認してください。

参考資料

公開時の確認日:2026年10月31日。資料の公開日・対象時点は各リンク先をご確認ください。