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改正建設業法の工期ダンピング禁止、施工管理は何を確認する?残業・給料への影響と転職前に聞く10の質問

公開:2026-11-01 / 原稿確認:2026年11月1日 / 運営:AI Mediaz

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この記事の結論

  • 2025年12月12日の全面施行で、著しく短い工期と原価割れの契約は、発注者だけでなく受注者(元請・下請)も結んではいけないことになりました。
  • 「標準労務費」と呼ばれる労務費に関する基準は、2025年12月2日に中央建設業審議会が決定し、実施を勧告しました。主な目的は技能者の賃金の原資を守ることで、施工管理技士の給料を直接決めるものではありません。
  • 施工管理として見るべきは、会社の見積りと工程の決め方。法律の変化を自分の残業・給料につなげるには、面接や社内で具体的に質問するのが近道です。
改正建設業法は3段階で施行済み
改正建設業法は3段階で施行済み。図を選ぶと拡大できます。

改正建設業法の工期ダンピング禁止とは?何が変わった?

工期ダンピングとは、通常必要な期間と比べて著しく短い工期で請負契約を結ぶことです。これまで建設業法で禁じられていたのは、注文者(発注者)が短い工期を押しつける側だけでした。

2024年6月14日に公布された改正建設業法(令和6年法律第49号、いわゆる第三次・担い手3法の一つ)で、第19条の5に第2項が加わり、建設業者(工事を請け負う側)も著しく短い工期で契約してはいけなくなりました。同じく第19条の3に第2項が加わり、建設業者が通常必要な原価に満たない金額で請け負う契約(原価割れ契約)も、省令で定める正当な理由(自社保有の安い資材を使う場合など)がない限り禁止されました。どちらも2025年12月12日に施行されています。

つまり「元請が無理な工期で受けて、現場がなんとかする」という形は、受けた会社の側の問題にもなります。

国土交通省の特設ページでは、工期が足りないときに時間外労働で対応しているケースが4割を超えていたことが改正の背景として紹介されています。

「著しく短い工期」はどう判断される?

国土交通省 東北地方整備局の説明資料では、日数が短いかどうかだけでなく、「工期に関する基準」などに照らして不適正に短いかで見るとしています。判断の視点は次の3つです。

  1. 中央建設業審議会の「工期に関する基準」を踏まえているか
  2. 過去の同じような工事と比べて短すぎないか
  3. 受注者が見積もった工期より短く、違法な長時間労働を招いていないか

同資料は、2024年4月から建設業にも適用された時間外労働の上限規制を超える残業を前提にした工期は、当事者が合意していても著しく短いと判断されうる、としています。上限規制そのものの数字は「建設業の残業上限は?」で整理しています。

改正建設業法はいつから?施行日ごとの一覧表

施行は3段階に分かれています。日付は厚生労働省と国土交通省の公式ページで確認しました。

施行日 主な中身 施工管理への関係
2024年6月14日 公布(施行はまだ) —
2024年9月1日 中央建設業審議会が「労務費の基準」を作り、実施を勧告できる権限/国が処遇確保の取組状況を調査・公表する権限 基準づくりの準備段階
2024年12月13日 資材高騰などの「おそれ情報」を受注者が契約前に注文者へ通知する義務/請負代金の変更方法を契約書の記載事項に/通知した事象が起きたら変更協議を申し出られる(注文者は誠実に応じる努力義務、公共工事の発注者は義務)/技術者の専任の合理化(ICT活用・兼任) 契約書・工程の変更協議の書類が増えうる。兼任の条件は別記事で
2025年12月12日(全面施行) 受注者も著しく短い工期で契約してはいけない(第19条の5第2項)/受注者も原価割れの請負代金で契約してはいけない(第19条の3第2項)/見積書に記載すべき事項(労務費など)の明確化と、著しく低い材料費等での見積り・変更依頼の禁止/見積額を大きく下回る契約をした発注者への勧告・公表 工期と見積りの決め方そのものに関わる

技術者の専任の合理化(兼任)は「施工管理の兼任特例」で詳しく扱っています。

勧告・公表の対象になる金額の目安は?

2025年11月14日の国土交通省の発表では、見積書の材料費等を通常必要な額より著しく下回るように変えて契約した場合に勧告の対象となるのは、請負代金が500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上)の工事と政令で定められました(建設業法施行令第6条の2)。

国土交通省や地方整備局の資料によると、違反したときの扱いは立場で分かれます。

  • 発注者:国土交通大臣などが勧告でき、従わない場合は公表されることがあります(工期ダンピングは第19条の6)。
  • 建設業者(受注者):従来からある規定による指導・監督の対象です(第28条・第41条など)。
  • 注文者が建設業者の場合(元請が下請に発注するときなど):第41条による勧告や第28条による指示処分がありえます。原価割れ契約では公正取引委員会の措置(第42条)につながる場合もあります。

違反に対する罰則の有無や処分の具体的な重さは、公式資料で確認できなかったため、この記事では書いていません。

標準労務費(建設業の労務費に関する基準)とは?

「標準労務費」は通称で、法律上の名前は労務費に関する基準です。中央建設業審議会が2025年12月2日に決定・作成し、同日付で公共発注者・民間発注者団体・建設業団体などに実施を勧告しました(全面施行の10日前)。

  • 目的:技能者に適正な賃金を払う原資として、公共・民間を問わず、下請取引も含めた全ての契約段階で適正な労務費を確保すること(国交省ポータルサイト)。
  • 計算の考え方:公共工事設計労務単価を基礎に「単価×歩掛×数量」で算出する方針が、審議会の資料で示されています。
  • 使い方:基準の値は標準的な作業内容・施工条件を前提にしたもので、個別の契約にそのまま当てはめるものではありません。行政が著しく低い見積りや原価割れ契約などを指導・監督するときの参考指標として使うとされています。
  • 見積書:2026年3月26日、国土交通省は労務費・材料費・法定福利費・建退共の掛金・安全衛生経費などの内訳を書く見積書の「書き方ガイド(運用編)」を公表しています。

基準値は、国土交通省が職種分野ごとに「単位施工量当たりの労務費」(1トン当たり、1平方メートル当たりなど)の形で示す方針です。地域や職種、施工条件で値が違うので、記事では数字を挙げず、「労務費に関する基準ポータルサイト」の最新資料での確認をおすすめします。

標準労務費で施工管理技士の給料は上がる?

基準の主な対象は、現場で作業する技能者の労務費です。施工管理技士の月給や年収の水準を定めたものではありません。

ただし、同じ改正で第25条の27第2項が加わり、建設業者には労働者の能力を公正に評価し、適正な賃金を払うなど処遇を確保する努力義務が置かれました。条文は対象を「労働者」としていて技能者に限っていないため、施工管理技士などの技術者も含まれると考えられます(これは条文からの読み取りで、国交省の資料が技術者を名指ししているわけではありません。この条文の施行日も、国交省の資料では条文ごとに確認できませんでした)。努力義務なので、何をどこまでやるかは会社によって差が出ます。

現在の年収の目安は「施工管理の年収は?」で公的統計をもとにまとめています。

施工管理の残業・給料はどう変わりうる?

ここからは、制度から考えられる「影響の可能性」です。実際に変わったかを示す統計はまだ見当たらないので、断定はできません。

残業が減る方向に働きうる点

  • 上限規制を超える残業が前提の工期は、受けた会社の側も問題になりうる
  • おそれ情報を事前に通知しておけば、資材の遅れで工期変更を協議しやすくなる
  • 見積もった工期より短い契約の根拠を、社内で説明する必要が出てくる

給料が上がる方向に働きうる点

  • 原価割れの受注が禁止され、無理な値下げ競争をしにくくなる
  • 法定福利費・安全衛生経費などを見積りに入れる流れが強まり、利益を確保しやすくなる

変わらない・悪くなるおそれもある点

  • 工期は守られても、書類(見積内訳・協議記録・工程の根拠)の作成が施工管理に集中すると、事務作業が増えることがある
  • 努力義務の部分は、会社の姿勢次第で何も変わらないこともある

働いている会社は守っている?確かめる5つの観点

観点 守っていそうなサイン 気になるサイン
工程の作り方 4週8休や上限規制を入れて工程を組んでいる 「休日を削れば間に合う」前提で受注している
見積りの内訳 労務費・法定福利費などを分けて書いている 一式の値引きで決まることが多い
おそれ情報 資材の遅れや値上がりを契約前に書面で伝えている 何も伝えず、起きてから現場で吸収している
変更協議 工期・金額の変更を記録に残して協議している 口頭で「なんとかして」で終わる
処遇の評価 資格・経験を評価する基準があり、説明される 昇給の理由が分からない

違反のおそれがある取引に気づいたときは、国土交通省や地方整備局などの建設業法に関する相談窓口に相談できます。窓口の連絡先は国土交通省のサイトで最新の案内を確認してください。自分のケースが違反に当たるかは、法律の専門家や行政窓口に確認してください。

施工管理の転職で何を聞けばいい?面接での質問リスト

求人票だけでは工期や見積りの姿勢は分かりません。面接で次の10問を聞くと、改正法への向き合い方が見えやすくなります。答えにくそうな質問は、転職エージェントに代わりに確かめてもらう方法もあります。

  1. 工期はどのように決めていますか?(工期に関する基準や過去実績を使うか)
  2. 見積もった工期より短い工期で受注することはありますか?その場合どう判断しますか?
  3. 2025年12月の改正建設業法の施行後、見積書の書き方は変わりましたか?
  4. 労務費や法定福利費は見積書に分けて書いていますか?
  5. 資材の遅れや値上がりのおそれは、契約前に注文者に伝えていますか?
  6. 工期が足りなくなったとき、変更協議は誰がどう進めますか?
  7. 施工管理の昨年度の平均残業時間と、最も多かった月の時間はどれくらいですか?
  8. 4週8休(週休2日)は全現場で取れていますか?
  9. 資格や経験はどう評価され、昇給にどう反映されますか?
  10. 見積り・協議の書類作成は、施工管理と事務のどちらが担当しますか?

求人票の残業・休日の読み方は「求人票のチェックポイント」も参考にしてください。

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よくある質問

Q1. 改正建設業法の工期ダンピング禁止はいつから受注者にも適用されていますか? A. 2025年12月12日の全面施行からです。それ以前は注文者側だけが対象でした。

Q2. 下請の会社も対象ですか? A. 受注者として請け負う建設業者が対象なので、元請・下請を問わず関係します。下請が元請に対して注文者になる場面では、注文者としての禁止も関わります。

Q3. 標準労務費は施工管理技士の給料の基準ですか? A. いいえ。主に技能者の賃金の原資を確保するための基準です。技術者を含む労働者の処遇確保は、別の条文で建設業者の努力義務とされています。

Q4. 残業の上限を超えそうな工程は違法ですか? A. 上限規制を超える残業を前提にした工期は著しく短いと判断されうる、と国交省の資料は説明しています。個別の判断は労働基準監督署や専門家に確認してください。

Q5. 会社が守っていないと感じたらどうすればいいですか? A. まず工程や見積りの記録を確認し、社内で相談します。取引上の違反のおそれは国交省の相談窓口、労働時間の問題は労働基準監督署が窓口です。環境を変えたい場合は、面接で上の10問を聞いて比べるのも一つの方法です。

参考資料

公開時の確認日:2026年11月1日。資料の公開日・対象時点は各リンク先をご確認ください。